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ピーターのぼうけん物語

第1章  ピーターたびだつ

  北のアルロという国に、ピーターという  わかものがいました。
ピーターの家は、とてもまずしかったので、お父さんやお母さんをもっと  らくにしてあげたい  と思っていました。そこで、ある日、ピーターは、思いきってたびにでて  たからものをもってかえろうと  心にきめました。

  さっそく、あまり  たくさんないけど、食べ物をもって、いかだをつくって  海にでました。はじめは  てんきもよくて、じゅんちょうに  波にのって  みるみる  りくからはなれて、南へむかいました。

  りくが  見えなくなって3日たちました。食べ物も  なくなってしまいました。ピーターは、おなかがへって  とてもつらかったけど、このまま  かえっては  もとのまずしいくらしにもどるのは  いやだったので、水をのみながら  たびをつづけました

  そのとき、きゅうにあたりがくらくなり、かみなりが  ドーーンと  おちてきました。あらしです。海は  あれて、いかだは  なみで  もみくちゃになりました。ピーターは、もう  いかだに  ひっしにつかまって、あらしがさるのをまちました。がまんしていても、あらしはやみません。そのうち  ピーターは  気をうしなってしまいました。

  それから  どれくらいたったでしょう。ピーターが気がつくと  そこは 見たことのない  すなはまでした。ピーターは、「ああ、たすかったんだ。でも、ここは  いったいどこだろう。」 と思いました。よろよろっと立ち上がると  ピーターは、すなはまを歩きまわりました。すなはまをこえると  小さな草原がありました。のどが、かわいていたので、草原の泉に  むちゅうで  はしっていきました。そして、のどをごくんごくんとならしながら、水をのみました。ピーターは、おなかもへっていたので、食べ物をさがしに  草原のおくへ  ずんずんすすんでいきました。

  草原の中に  林が見つかりました。木には  見たことのない  果物がなっていました。とろうと思ったら、木のうしろから  しらない動物がでてきました。ピーターは、おどろいて  ぶるぶる  ふるえてしまいました。すると  その動物は、ピーターに  そろりそろりと近づいてくるのではありませんか。よく見ると  その動物は  本で見た  おそろいしいライオンのような  すがたで、いまにも  とびかかってきそうなおそろしい顔をしていました。ピーターは  ぶきをもっていません。ですから、ものすごい  いきおいで  力いっばい  はしってにげました。

  その動物は、ピーターをおいかけましたが、ピーターの  足のはやさについてこられません。ビーターは  やっとにげてきましたが、また、道がわからなくなってしまいました。おなかがへっているのに、力いっばいはしったので、ピーターは、くたくたになって  一歩も歩けなくなってしまいました。そして、気をうしなって  その場にたおれてしまいました。
気がつくと  朝になっていました。ひとばん中  気をうしなっていたのです。

「ああ、こんなところで  しにたくない」
と思った  ピーターは、よろよろと立ち上がると、朝日のある  東のほうへと  よろよろと歩きはじめました。でも、もうつかれきっていたので、少し歩いただけで  バタリとたおれてしまいました。

  すると、そのけはいをかんじとって  草原の中から  ひとりのおじいさんがやってきました。おじいさんは小さいのに  せなかには  大きなリュックをせおっていました。見るからに  あやしいおじいさんです。ピーターを見つけると、ピーターのむねに耳をあてて  生きているか  しらべました。ピーターはよわっていたけど、まだ生きています。あやしいおじいさんは、リュックの中から  水とうを出すと、ピーターの口に  少しずつ水をながしこみました。すると、ビーターは目をさまし、おじいさんの顔を見ました。
「おお、気がついたか  わかいの。」
おじいさんは声をかけました。おじいさんは、こんどは  ビスケットを食べさせました。ピーターは、ほんとうに  ひさしぶりの食べ物だったので、むちゅうになって食べました。ようやく  おなかのへったのもかいふくして、立ち上がると、
「じさま、ありがとう。ぼくは、アルロのビーターといいます。」
と,おじいさんに  おれいをいいました。
「おお、元気になったか  わかいの。ところで  わかいの、なんでこんなあぶないところにいるんだ。」
おじいさんは、ききました。ピーターは、アルロを出ることにしたわけや、これまでの  できごとを  おじいさんに話しました。おじいさんは、話をきいて、
「しかたない。わしは  草原のむこうの  キマリのものだが、あんないしてやる。ついてこい。」
といって、ビーターを  キマリという町に  つれていってくれました。

第2章  知らない町での出会い

  キマリという町は、アルロにくらべると  大きくはないけど  明るくて元気な町のようでした。ただ、ピーターを  町の人はふしぎそうに見ていました。おじいさんの家は、町のはずれの  小さな家でした。家につくと、小さな女の子が  一人いました。ピーターを見ると
「あなたはだれ。」
と  ききました。

「ぼくは、アルロのピーターといいます。この  じさまに  草原でたすけてもらったんだよ。君の名まえは?」
「私はサッキーよ。」
  ピーターは、しばらく  おじいさんの家で、元気になるまで  いることにしました。

少しずつ  おじいさんやサッキーのことが  わかってきました。おじいさんの名まえは、ヘンナーさん。サッキーは、じつは  おじいさんのまごではありません。3年前に  ピーターとおなじように、草原で  ヘンナーおじいさんに  たすけられたのです。サッキーは、きおくを  なくしていました。今では、ヘンナーおじいさんを  おやのように思って、しずかにくらしていました。

  ピーターは、アルロにかえるには  どうしていいか  わからなかったので、ヘンナーおじいさんにききました。でも、おじいさんも、アルロという国が  どこにあるかしりませんでした。キマリの町の人にきいてもわかりません。

ところが、ピーターの国の話を  毎日のようにきいていたサッキーが、少しずつ  きおくをとりもどしてきました。そして、ある日、サッキーはアルロにいったことがあるのを  思いだしました。そこは、キマリからずーっと  北のほうにあることがわかりました。ヘンナーおじいさんは、
「じゃ、さっそくいこう。」
と  いって、サッキーとピーターといっしょに  アルロにいくことにしました。大きなリュックに  食べ物やのみ物をたっぷり入れてかつぎました。

  キマリを出てから  3日ほどたちました。ゆくてに  高い山が  そびえたっていました。おじいさんは、いいました。
「あの山は、ポルテ山というんじゃ。その山のむこうには、キレットという国が  あるといわれておる。」
「え―、まだ  アルロじゃないんだあ。」
ピーターは、あきれてしまいました。でも、三人で  はげましあいながらボルテ山に  のぼりました。とても  けわしい山で、ちょう上のところには  夏でも雪のある  ところです。さむくて  こごえそうになります。

  やっとのことで、ポルテ山をこえました。そこは  キレットという国です。山からおりて  さいしょの町へつきました。ごみが  おちていないとてもきれいな町です。道を  歩いている人たちに、今日のやどを  おねがいしました。でも  ヘンナーおじいさんのことばも、ピーターのことばも、ぜんぜんつうじませんでした。町の人は、この二人を  へんな目で見るようになり、だ―れも  ちかづく人がいなくなりました。三人は、とほうにくれてしまいました。しかたなく  町はずれの木の下で  ねることにしました。

  つぎの日は、また北をめざして歩き出しました。やっぱり  道ゆく人はだれもことばがつうじません。しかし、キレットの人のことばを  何回もきいているうちに、とつぜん、サッキーが  その人たちのことばで  しゃべりだしました。ヘンナーおじいさんとピーターは、びっくりしてしまいました。

  サッキーは  きおくをとりもどしたのです。なんと  サッキーは、このキレットいう国の  生まれだったのです。
「わたしは、キレット国の北の方にある  レッドという町に  すんでいたのよ。わたしの家は、外国の人たちと  いろいろな物をこうかんしている、ぼうえきのしごとをしていました。わたしが  はじめて、お父さんとお母さんといしっょに  外国にいくときに、ふねから  おちてしまったのよ。そのとき、ヘンナーおじいちゃんに  たすけてもらったのね。」

  それから  二人は、サッキーが  つうやくとなって  やどをさがしたりしながら、サッキーのふるさと  レッドヘむかっていきました。

第3章  みんな国へ帰る

  いくつかの  町や森や草原をこえて、やっと、レッドにつきました。とても  大きな町で  海も見えます。サッキーは、まよわず  まっすぐ自分の家へ  むかいました。

  サッキーの  お父さんとお母さんの  すんでいるところは、しずかな森にかこまれた家でした。サッキーが  家の中にかけこむと、お母さんがいました。お母さんは、目を大きくひらいて、口も大きくあけて、しんじられないような顔をして、サッキーを見つめました。それから、ゆっくりと  サッキーのところまで  歩いてくると、
「サッキー、おまえなのかい。」
と、小さな声で  ききました。サッキーは、なみだをうかべながら、
「お母さ―ん。」
と、さけびながら  お母さんにだきつきました。二人は、しっかりとだきあって  ないていました。

  しばらくして、サッキーは、ピーターとヘンナーじいさんのことも  わすれて、これまでのことを  お母さんに話しました。夜になって  お父さんも帰ってきました。三年ぶりに  親子三人で  しあわせなひとときをすごしました。夕食は、ピーターとヘンナーじいさんも  いっしょになつて  ワイワイと楽しいものでした。夕食がおわると  サッキーのお父さんは、ピーターとヘンナーじいさんにむかって、
「あなたたちは、サッキーをたすけてくれた  いのちのおんじんです。どれだけ  かんしゃしてもたりないくらいです。このお金を  かんしゃの気持ちとして  うけとってください。」
と  いつて、山ほどの金かを  さしだしました。ヘンナーじいさんは、
「おらたちは、お金がほしくて  たびをしてきたわけじゃねえ。サッキーが  しあわせになれば  それでいいんじゃ。」
ピーターも、
「本当によかった。ぼくは、本当は  お金もちになりたくて  国をとびだしたのです。でも、ヘンナーじいさんやサッキーとあえて  家族といつしょにくらすことが、ほんとうのたいせつな  たからものだ  ということがわかりました。ですから、ぼくも  お金はいりません。早く  国に帰って、お父さんやお母さんを  たすけたいと思います。」

  サッキーのお父さん、お母さんは、二人のことばをきいて  とても  かんどうしました。そこで、かんしゃの気持ちとして、ピーターが  国ヘ帰る  おてつだいをしてくれることになりました。ヘンナーじいさんも、サッキーやピーターとわかれて、きた道をもどって  キマリに帰りました。

  アルロにもどったピーターに、サッキーのお父さんは
「アルロとレッドが仲よくなるために、力になりたいのです。あなたはアルロのめずらしい物を  おくってください。私は  レットのめずらしい物をあなたにおくります。」
と、ぼうえきに協力してほしいといいました。このときから  ピーターはアルロのぼうえきを  まかされることになったのです。アルロとレッドもとてもなかのよい国になりました。

どちらの国の人たちからも  よろこばれて、  ビーターは  しあわせにくらしました。


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