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理論的根拠

「パソコン普及のガン」となっている現行のキーボードの奇妙な文字配列は、いつどうしてできたのか?
―その経緯と簡便確実な改良法
意外な事実1  日本のパソコン普及は先進国中18位 意外な事実2  パソコン/ワープロ普及の遅れた5大原因
意外な事実3  なぜワープロは日本人の必需品か 意外な事実4  今のキー配列は誰がいつ、つくったか?
意外な事実5  デタラメに改悪されてしまった山下案 意外な事実6  新JISはこうして失敗した
意外な事実7  キーボードの改良案はなぜ普及しなかったか 意外な事実8  英文タイプの文字列も実はいいかげんだった
意外な事実9  日本語の特性―単語音節の2割は拗音 意外な事実10  開発者さえ驚いた「ナラコード」の成果

意外な事実  8

英文タイプの文字列も実はいいかげんだった  ローマ字入力は思考の中断と停滞を生む

  英文タイプのローマ字の配列も、いつどうして作られたものか確実な文献がありません。割合に耳にするのは、古い時代の活字レバーが絡みつくことがあったので、それを避けるような配置にしたという通説ですがこれは明らかな誤りです。

  なぜかというと、約120年前、アメリカのレミントン親子商会で世界最初のタイプライターが商品化されたときの製品は、ロール状のプラテンに紙を巻きつけてセットし、打鍵すると真下に円形に配列されたバーが上がって文字をしたから打つ、つまり打ち終わってプラテンを持ち上げてみないとミスがあったかどうかわからない、というような代物でバーが絡むことなどなかったからです。現在の英文タイプの活字配列の基準は、当時のアメリカの印刷職工組合の活字工の使う活字棚の文字配列に準じたというのがいちばん信憑性が高い説とされています。当然、これは経験により、ERとかTHとかは拾いやすいように近付けていますが、あくまでカンと適当な割り付けによるもので、科学的な統計に基づくいたものではありません。このため、昭和初年にドボラック博士による科学的なキーボード配列が提案され、実験の結果このほうがはるかに効率の良いことが証明されたのですが、

  1. 旧方式がすでに半世紀以上たって非常に広く普及していた
  2. ローマ字はわずか26文字なのでそれほど不便を感じない
  3. 第一次大戦とぶつかり、普及活動ができなかった。

等の理由により、アメリカでは特定の州庁とか会社で使用されているのとどまっています。

  このもともと不合理な英文字キーによりローマ字入力を行っているのが現在の日本のパソコンユーザーの大多数ですが、この方式には次のような根本的諸欠陥があります。

  1. 習熟に時間がかかる。
    ローマ字は、前掲の参考図のように、わが国の大多数の人には非常になじみにくい表現法です。大学の英文科、あるいは理科系の出身者などは自然のうちに身につけていますから気にならないのですが、学校を出て歳月のたったお年寄り、家庭の主婦、多忙な中小企業の経営者などは、ややこしいローマ字を学び直している時間がなく、一般大衆にとっては習熟に時間がかかりパソコン利用の障害となっています。
  2. 入力が非常に遅い
    仮名なら1字で入るところを、2字以上かかるので、指先だけは目まぐるしく動いているようでも、入力はきわめて遅い。
  3. ミスが非常に多い
    「ナラコード」なら千タッチで入力できるものが、ローマ字だと約3千タッチかかるので、単純計算でも3倍のミスが発生します。さらにローマ字は日本語を表現するのに苦労する文体で、ミス率がもっと多く、精神的負担の多い入力法です。特に「しゅっしんしゃ」とか「ちゅうしょうきぎょう」「しゅっちょう」などという拗音、促音の入力にはベテランでも間違うことが非常に多いのです。
  4. 「日本人は、ローマ字で考えているわけではない」から、ローマ字に翻訳する精神的負担がかかり、思考の中断、停滞を生み、日本語自体を推敲しながら適切な文章を書いて行くのにブレーキがかかる、つまり名文、良文の書きにくい入力法で、後で推敲に時間を要するやり方です。

  要するに、現行のキーボードは、旧かな入力方式にはもちろん[レッドカード]ですが、ローマ字入力方式にも[イエローカード]なのです。


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