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理論的根拠

「パソコン普及のガン」となっている現行のキーボードの奇妙な文字配列は、いつどうしてできたのか?
―その経緯と簡便確実な改良法
意外な事実1  日本のパソコン普及は先進国中18位 意外な事実2  パソコン/ワープロ普及の遅れた5大原因
意外な事実3  なぜワープロは日本人の必需品か 意外な事実4  今のキー配列は誰がいつ、つくったか?
意外な事実5  デタラメに改悪されてしまった山下案 意外な事実6  新JISはこうして失敗した
意外な事実7  キーボードの改良案はなぜ普及しなかったか 意外な事実8  英文タイプの文字列も実はいいかげんだった
意外な事実9  日本語の特性―単語音節の2割は拗音 意外な事実10  開発者さえ驚いた「ナラコード」の成果

意外な事実  6

新JISはこうして失敗した

  通産省当局はJISを決めるときこれしかなかったので止むを得ず一応制定すると同時に新JIS方式を日本電子工業振興協会に諮問しました。残念ながらこれが専門オペレーター用のむずかしいもので大衆向けのものでなかったために普及せず、旧JISのみが残り、この呪縛がわが国のワープロ、パソコンの普及を阻害する最大の障壁となりました。

  当時はキーボードを取り扱うのは会計機や計算機の技術の専門家かキーパンチャーと呼ばれる特定の職業人であり、今のようにパソコンやワープロが普及して一般大衆がキーボードになじむ時代が来ることは夢想もされなかったので、新JIS制定の審議の際には、もっぱら専門家向けの特性向上が重視されました。新JISの設計思想は、当時のOA化促進の要望に応えて、打鍵効率を高めることを第一の優先順位とした技術優先論にたって以下のようになりました。

  1. 旧JISの4段42個のキーを32個に減じ3段にまとめる。
  2. 使用頻度の高い仮名を使いやすい指に割り当てる。(かな単音の出現頻度は高校教科書の約140万字の解析に基づく)(第3図)

  このようにして得られたキー配列は、熟練者にとっては確かに作業能率を高めるものでした。しかし仮名を使用順度順に配列したために、当然のことながら、50音編成は支離滅裂となり、50音図によってカナを記憶している現代の一般日本人にとっては不快極まりない、いわゆるノイローゼ・キーボードとなったのです。その結果、国家基準であり、各大手メーカーが一斉に新JISキーボードを発売したにもかかわらず、市場の反応はまったく得られず、売り上げは2%以下に終わり、今では店頭にその姿を求めることすらできません。

  このことは、どんなに論理的な整合性に立脚したものであっても、人間の感性に適合しないもの、ユーザーオリエンテッドでないものは、マン・マシン・インターフェイスとしては受け入れられないことを立証しています。その上更に重要であり、不幸なことは、官民上げての新JIS開発計画の挫折が、メーカーの新キーボード開発意欲を圧殺してしまったことです。消費者の間に瀰満しているキーボード・アレルギーに加えて、メーカーの間に一層強固なキーボード・アレルギーを醸成するという結果をもたらし、今日では、むしろこのことが、ワープロ、パソコン普及の最大の阻害要因になっているということです。

第3図  新JISキーボード
第3図  新JISキーボード


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